イースト・ロンドンの一角、ブリック・レーンと聞いて連想するのは、にぎやかなマーケットに、香辛料の芳香が漂うカレー料理店だろうか。でもそれだけではない。最近では、ブリック・レーンの通り一帯の改装が進み、ずいぶんと様変わりしているのだ。
日曜日のマーケットは今も健在で、相変わらず風変わりなオブジェや、掘り出しものの骨董品に出会える楽しいスポット。もっとも、他の曜日に出かけても、十分に楽しめる。デザイナーが手がけるリビング雑貨関連のショップ、ファッション・ブティック、エキゾチックな装飾品やインドのサリー、宝石類を扱うバングラデシュ人の大型商店などが目白押しなのだ。
レストランからはスパイスの香りがあふれ、ベンガル風の料理に五感が刺激される。カフェから聞こえてくる歌もベンガル語のものが増えたが、ユダヤ風ベーカリー「ベイガル・ベイク(Beigal Bake)」もお忘れなく。この辺りはもともとユダヤ人街だったところで、店はいわば歴史の証のような存在でもある。店内をのぞけば、嬉しそうにパンを物色中のお客さまで、いつも混み合っている。
「旧トルーマン醸造所」は、小さな芸術村に変身した。広さ約4万5000平方メートル(11エーカー)を誇る内部には、ファッション・デザイナーやアーティストの工房、撮影所、ギャラリー、バーなどが集まり、いつも活気にあふれている。
「ブリック・レーン・ミュージック・ホール」は、ヴィクトリアン・ミュージック・ホールのブリック・レーン版。イースト・エンドらしい温かみにあふれた夜のエンターテイメントが評判だ。
世界各国からの移民が、多彩な文化を発信するブリック・レーン。ここで暮らすようになって、もっとも日が浅いのはバングラデシュ人だが、その存在感は誰もが認めるところ。なかでも、最近始まった食と文化の祭典「カレー・フェスティバル」の盛り上がりは、彼らなしではありえなかっただろう。